名前をジョンボルトン。現在はアメリカの大統領補佐官を務める人物ですが、彼は親日派として知られています。
しかし、ボルトン補佐官には気になる点が――。日本や北朝鮮情勢に与える影響を考えてみました。
ボルトンは親日派なの?

トランプ政権の大統領補佐官に任命され、北朝鮮への過激な発言でも知られるジョンボルトン氏。
いわゆる保守派と言われる政治家で、時には強硬な姿勢を示すことで有名です。最近では米朝首脳会談の場にも登場し、注目を集めましたね。
そんな彼は親日派として知られていて、「日本の味方だ!」と思っている人も多いですが、果たして本当にそうなのか…
ボルトンってこんな人
メリーランド州のボルチモア生まれで、イェール大学を卒業して政治家の道を歩むと、タカ派やネオコンとして知られるようになります。
タカ派とは、目的達成のためなら手段を選ばず、戦争や武力も辞さない考え方を持つ人たちの事で、強硬派と呼んだりもします。
親イスラエル派でボルトン氏はプロテスタントのルター派信者。現在はメリーランド州ベセスダに住んでおり、妻と娘がいます。
ブッシュ政権時(子供のほう)には国務次官を務め、イラク戦争への流れを作り開戦へと導いた一人とされています。北朝鮮やイランなども批判し、対立姿勢を強めました。
ヘンリー・キッシンジャーなどの推薦で国連のアメリカ大使を務めるも、様々な反発を浴びてその後辞任を表明。日本の安倍晋三氏や麻生太郎氏らと共に、北朝鮮制裁の路線を強めていきます。
トランプ大統領は彼の外交手腕を買い、マクマスター大統領補佐官を解任したあと、ジョンボルトン氏を任命することとなるのです。
拉致問題と台湾を支持
ボルトン大統領補佐官は、日本の拉致問題に協力的であり、日本の立場を支持しています。
また、2016年には北朝鮮の脅威に対抗するため、日本の核武装を検討すると発言。これは今後の日本の安全保障を変える重要な問題なのですが、なぜかこの時ほとんどのマスコミはスルーしました。
そして中国からの弾圧と闘っている台湾を支持しており、沖縄にいる在日米軍の一部を台湾に駐留させると提案したことも。
さらに日本の国連常任理事国入りを支持していて、中国の脅威と闘う日本としては良き理解者であり、とても頼もしい存在でもあると思います。
日本への原爆を正当化

しかし、ジョンボルトン大統領補佐官は一枚岩ではありません。
「トルーマンがしたことは、私からしてみれば、軍事的に正しかっただけではなく、道徳的にも正しかったのです」
日本と米国の戦争時、広島へ原爆を落としたアメリカの立場を正しかったと発言。日本本土に侵攻するとアメリカ人が流血することになるので、正しい判断だったと――。
さらにオバマ前大統領が広島を訪問した際には、「恥ずべき謝罪ツアー」だと批判。アメリカが全て正しく、世界はそれに従えばいいと言わんばかりの主張にも聞こえてくるようです。
北朝鮮とイランを潰したい
米朝会談の「壊し屋」とも指摘されているボルトン大統領補佐官は、北朝鮮とイランを潰したいという意図を隠さず、先制攻撃も必要だとの立場をとっています。
ブッシュ元米大統領が、北朝鮮やイラクと一緒にイランを「悪の枢軸」と呼びましたが、ボルトン氏はイラク戦争のあと大量破壊兵器が見つからなかったあとも戦闘継続を主張した強硬派なのです。
米朝首脳会談の時のこと。前日の夕食会には出席しなかったボルトン氏が、2日目の交渉の場には突然着席。北朝鮮陣営は不安を隠せなかったでしょう。
彼の主張はよくウォール・ストリートジャーナルに寄稿されます。
ウォール・ストリートジャーナルと言えば、アメリカ金融の中心、ウォール街から生まれたメディアで、日本語版でも読むことができますね。
ウォール街を支配する国際金融資本は軍需産業や「戦争経済」との結びつきも強く、最終的には北朝鮮やイランなどに中央銀行(日本銀行のようなもの)を設立して支配するのが目的との話もあります。
親日派とされるジョンボルトン大統領補佐官の背後には、軍需産業やウォール街の影もチラつき、米朝会談も「意図的に」決裂させたのではと、疑い深くなってしまいます。
日本にとっても、油断のならない政治家かもしれませんね。